『百まで生きる覚悟』(春日キスヨ著、光文社新書)の著者は家族社会学者。父子家庭、不登校、ひきこもり、障害者・高齢者介護の問題などについて研究を続けてきたという実績の持ち主である。
1990年代初頭からは高齢者家族の変化を追ってきたそうだが、近年は大きな変化を感じるのだという。80代後半以上の夫婦ふたり暮らし、ひとり暮らし、それも身近に身寄りがない長寿期にある人たちなどが増えているということだ・・・
そしてそんななかで実感しているのは、「力がある高齢者は、まだ若く力があるうちに備えをしておいてほしい」「いまの高齢者は成り行き任せで、なんの備えもしていない」という意見が、支援者や家族介護の担い手から増えてきたということ。だとすれば、世話をする側、支援者側にそう言わせてしまう高齢者側の意識と備えの実態とはどのようなものなのだろう? 彼らは本当に、「成りゆき任せ」でなにもしていないのだろうか。もしもそうなら、その背後にはどのような理由が関わっているのだろうか。
「元気長寿者」の暮らしぶり|『百まで生きる覚悟』
